PFI手法による刑務所が運営開始
PFI手法による官民共同の新たな刑務所の整備についてのメモ:
PFI手法:Private Finance Initiative
公共施設の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法。
事業主体は民間でもその執行にかかる最終責任はあくまで行政。事業自体を民間に売却して行政から切り離す「民営化」や行政と民間の共同出資により運営される第3セクターとは性格が異なる。
他国のPFI刑務所について
英米系の諸国:全ての業務を民間が執行できる。民営刑務所
大陸系の諸国:保安業務、サービス業務による混合運営施設(日本はこちら
日本初のPFI手法による刑務所
山口県 美祢社会復帰促進センター(社会復帰サポート美祢)ネーミングも受け入れ地域との親和性を高める。
土地は国が買い上げ運営会社に無償提供し、約517億円によって18年間運用したのち、国に無償返却される。
セコムや清水建設などが中心となる社会復帰サポート美祢株式会社は、美祢社会復帰促進センター整備・運営事業を落札した「美祢セコムグループ」が設立した特定目的会社。
最初に収監されるのは"特A級"とよばれる犯罪傾向の進んでいない初犯の囚人を全国6万人より男女500人ずつ選抜。
運営の継続性や安定性を確保するため例えば逃走事故などがあると最大となる毎年度の事業費の3%のペナルティが課される。
平成14年名古屋刑務所事件→行刑の現場の透明性の確保も期待される。
受け入れ地域
刑事施設内の診療設備を地元に解放する。施設の来訪者とは別の入り口から利用できる。
設備
動線をなるべく短く。パノプティコンのような監視部は1〜3階を貫く独自の階段を持つ。
ICタグを携帯させ静脈による生態認証によって施設を管理しなるべく行動を制限しない。鉄格子の代わりに強化ガラス。赤外線センサー、振動センサー、カメラによる監視。
ICタグにより2秒ごとに屋内外を問わず1〜3mの誤差で囚人の位置を捕捉する。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200704030059.html
刑務作業
- ソフトウェアプログラミング
- 地図情報入力
- ブルーベリーの温室栽培
- 古着のリメイク
- パソコン技能、就労に必要な基礎知識を必須とする。
介護技能、フラワーアレンジメントなどもある。
図書の点訳や読み上げよう音声コード入力など社会貢献として意義のある内容の作業。点字成果物は地元に提供される。
今後
この後1年半で島根あさひ社会復帰促進センターを2号とし日本全体の8%にあたる6000人をPFI手法の刑務所が引き受ける。
先進国に並ぶ水準。美祢社会復帰促進センターは19年度より29億円が国から支出される。
人材の育成が非常に大変だと思う。セコムはこの事業を社会的責任(CSR)の一環とコメントしている。
一般的な警備のノウハウだけでは足りないだろうし、パイロット事業なのでこの4月から運営されるこの刑務所に注目が集まる。はず。